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計画始動_編

計画_始動前

最初のサイドカー

エリミネーター250SE_サイドカー私が最初に購入したサイドカーは、Kawasakiエリミネーター250SEのサイドカー付中古車。フレームは、前オーナー(機械工場の社長さん)の自作。カーの浮き上がり防止用に、40kgの鉄板がフレーム上に敷いてあった。そのためかどうか、ハンドリングが安定していて、大変乗りやすい車両だった。

10年ほども乗ったが、弄り過ぎてキャブやエンジンの調子を狂わせてしまった。乗っている期間と整備という名の放置プレイの期間とがほぼ同じくらい。このまま放置して腐らせるよりは、人手に渡った方がましかとも思い、やむなく手放すことに……。ドナドナされて、次のオーナーの元へと嫁いで行った。

今頃は、オーナーの元で復活して、元気に走ってくれていることを願う……。

後継機を入手

HONDA リード90_サイドカー私の場合、日頃の下駄代わりに、サイドカーは必需品。気軽に乗れて、荷物も積める(これ大事!)。口さがない外野が、サイドカーのデメリット(もしあればの話だが……)として槍玉にあげる雨の日は、そもそも乗らないし、渋滞するような道路や時間帯は走らない。適材適所、使いどころを間違わなければ、こんなに面白い乗り物は、ちょっと他にないのではないか、と思っている。

そういうわけで、エリミネーター250SEのサイドカーを手放した後、直ちに後継機種を物色。某オークションで、首尾よく格安の中古サイドカー(HONDA リード90 サイドカー付)をゲットした。

ぱっと見は綺麗。ただし、ここからが問題。ある程度覚悟はしていたものの、本車側は、タイヤの前後輪ともとっくに寿命で要交換。フロントホイールのベアリングにガタ(どうやらリード90の持病らしい)。ガソリンタンクからは燃料漏れ。エアクリーナーのスポンジは、手に持った途端、粉々に……。どうやら前オーナーは、まともな整備もせずに乗りっぱなしだったのではないか、と勝手な想像。
HONDA リード90_サイドカー
サイドカー部分は、これもひどい!軽くするためだろうけれど、床板は、1mm厚くらいのペラペラの鉄板で錆さび。フレームは、5cm角のスチール角パイプを「ト」の字形に組んで、床板に溶接してある。頑丈そうではあるけれど、なんか手抜きしたような作り。本車と側車は、2本の太いパイプで連結。外れたり、捻れたりすることはないと思うが、これって、後からアライメント(トーイン・リード・キャンバーもしくはリーン)の調整とか、まるで考えてないよね?

側車輪は、一見リジットサスに見えるけれども、ラバースプリングを内蔵したサスペンションユニット(三木プーリ、ロスタサスペンションユニットDKモデル、写真で青く見える円筒状のパーツ)を装備。サスペンションユニットから、下方向にクランク状のアームが伸びて、最低地上高を確保するとともに、車高調整する仕組み。このあたりは、サクマエンジニアリングのオミクロン3などと同様。ただし、オミクロン3に比べると、大分省略されているのが気にはなる…。

HONDA リード90_サイドカー 側車輪部分サス周りの調整のしやすさと、選択種類の幅を考えれば、サスペンションとしての性能は、コイルオーバーユニットとスイングアームの組み合わせに軍配が上がると思うけれども、小排気量スクーターに取り付けるサイドカーとしてなら、この方式もありかな、と思う。なんといっても、250cc以下の小排気量サイドカーは、法律上、車幅を130mm以下に抑える必要があるので、その点では俄然有利。

乗り味も思ったほど悪くはない。いや、本車側のサスと比較しても、よくしなって(「ダンパーが効いて」というよりも、このサスの乗り味をよりよく表現している気がする)、きちんとサスとして働いているのには、少々驚いた。

このサイドカーをレストアして乗るのも一興か、とは思うけれども、このまま乗り出すには不満な点も多い。さて、どうしたものか?

計画_始動

そうだ!サイドカーを作ろう

FY125EY-5 サムライミニHONDAリード90+サイドカーを前に、暫く考えた。Kawasakiエリミネーター250SE+サイドカーに10年乗った。これから、このサイドカーにも10年乗るのか?

不満な点を一つひとつ解消して、自分にふさわしいサイドカーとして作り上げるプロセスも、じっくりシミュレーションしてみた。ずいぶんと面白いものができそうだが、いまの自分が目指す方向性とはちょっと違う。

結論から言えば、このリード90+サイドカーを素材に、側車のフレームを新たに作り直して、手持ちのピットバイク(FY125EY-5サムライミニ)と組み合わせることにした。サイズ的にも手頃だし、何よりスクランブラー仕様のサイドカーが欲しかったので、両者の組み合わせは、より魅力的な選択肢に思える。ミリタリー仕様を目指せば、小粒でも迫力のある仕上がりになるだろう。そして、リード90+サイドカーの方は、ゆっくり構想を練りつつ、後々の楽しみに取って置くことにしよう。

大方の疑問に答えるつもりで、蛇足ではあるが、サイドカー専門店にカーの製作と取付を依頼するという選択肢については、最初から考慮しなかった。理由としては、費用の問題が一つ。もう一つは、こちらのウェイトの方が大きいのだが、こんな面白そうな企画を、他人に任せる気にはさらさらなれないからである。確かに、プロに任せれば、早くて安心には違いないが、たとえどれほど仕上がりが無残なものとなり、或いは予期せぬ結末を迎えることになったとしても、自分が選び取った選択の結果であるならば、文句などあろうはずもない。

目指せ!本格派スクランブラーサイドカー

方向性が決まったところで、大まかに構想を整理してみる。まず、溶接など、どうしてもプロの手に委ねる必要がある場合を除き(自分で試して、家族を路頭に迷わすつもりはない)、基本的には、可能な限り自分の手で作業を進めたい。また、費用と手持ちの道具と自分の技量と、加えて作業に割り振れる時間的余裕など、様々な要素を勘案して、実現可能なラインを探る必要もある。

いろいろと楽しみながら考え合わせた結果(至福の時間!)、どうやら基本線が見えてきた。
  1. コンセプトは「小さくとも本格派!スクランブラーサイドカー」
  2. 本車はピットバイク(FY125 EY-5 サムライ ミニ)のカスタム仕様
  3. 側車は左側に装着(最初が左カーだったから)
  4. 側車は十分なクリアランス(最低地上高)を確保
  5. フレームはスチールのラダー(はしご)形式
  6. 1クラス上の剛性を確保する
  7. 本車との連結は4点支持
  8. 側車輪は10インチサイズのスポークホイール
  9. サスペンションはモノサス形式
  10. アライメントの調整機能を装備
  11. 車高調整機構を装備
  12. 床板の鉄板は厚みをとる
  13. 本車側フレームには極力熱を加えない(変性が怖いから)
  14. 組立てはボルト締めを基本とする
  15. 無謀な試み(自分で溶接するなど)は控える
  16. 費用はお小遣いで賄う(これ重要!)
要は、今後10年間、自分が乗りたいサイドカーをどうやったら造ることができるか、それだけを考えて出てきた結論である。そして、以下に装備品を列挙。
  • サイドカー側車輪(部分)側車輪ブレーキ(本車と連動)
  • パーキングブレーキ(側車輪に装着)
  • ステアリングダンパー
  • フォグランプ(ポジションランプ兼用)
  • テールランプ(本車と連動)
  • 左ウインカー
  • 座席(サイズ的に大人は無理)
  • トノカバー(新規作成)
  • 風防(クラシックタイプ、いらないかも)
  • 昇降用踏み板
これで、おおよその完成形はイメージできるようになった。次は設計段階に入る。

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