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足回りの整備ホイール・ベアリング交換今回、ホイール交換に合わせて、ベアリングも交換することにした。通常、日本車であれば、数万キロ走行したバイクであっても、ホイール・ベアリングは無交換という車両は決して珍しくないだろう。言い換えれば、そのくらい国産車の品質は信頼性が高い、という証左でもある。ところで、これはあくまで私見であるが、概ね中華製ホイールに付いてくるベアリングの類いは動きが渋く、転がり抵抗も大きい。無論、これでも新品には違いないから、まさか走行中にバラバラに分解することは無いだろうけれども、ホイールの動き自体は、ベアリングを国産品に交換しただけで断然違ってくるので、できれば実施しておきたい整備項目の一つである。 ベアリング交換の手順は、以下の通り。
ベアリング・インサーターは、専用工具を揃えるのがベストなのだろうが、素人が必要とするサイズは極々限られているので、私はボックスレンチのコマで代用している。さすがに、ハンマーでボックスレンチのコマを直接叩く勇気は湧いてこないから、M12ボルトにコマの口径に見合った座金をかませ、ボルト頭を叩いてベアリングをインサートするようにしている。結構、これでも何とかなるものである。 そうとはいえ、ここでも中華クオリティは、その健在ぶりをアピールしてくる。中華クオリティのポリシー(その1)は、「見えないところは手を抜く!」である(個人の見解です)。予想通り、ベアリングを外した後に出てきた内部カラーは、バリ仕上げすら施されていない、精度も怪しい一品であった。これが日本製であれば、即返品されてもおかしくないレベルの品質であろう。まあ、そこは中華ならこんなもん、と割り切っているので、慌てるでもなく、丹念にバリ仕上げを施し、長さも精度をきちんと出した上で、改めて組み込んだ。 因みに、中華クオリティのポリシー(その2)は、「品質より見映え優先!」であり、(その3)に「耐久性には目を瞑る!」が続く(あくまでも個人の見解です)。碌でもない、と考える向きもおられるには違いない。しかし、逆にそこを割り切って、最初から後で不足分を補うつもりで付き合うのであれば、これほどコストパフォーマンスに優れた製品群は、ちょっと国内には見当たらない。高精度、高品質の製品が欲しければ、最初から高額な日本製を選ぶ方が間違いが少ないだろうし、何より安心感が違う。しかし、私のように該当する製品自体が存在せず、ほぼ一品物として製作せざるを得ない、という場合には、ある程度加工が施された素材として、中華製品群は実に有難い存在である。要は、付き合い方次第で、その価値は人によって変わる、ということである。
ホイール及びタイヤ交換おそらく、製造時から一度も交換されていないであろう硬化したタイヤに併せて、随分とくたびれてきた前後輪のホイールも一緒に交換することにした。手順自体に特に難しい点があるわけではないが、よく注意しておかないとすぐにチューブに穴を開けてしまう。以前、これでひどい目に遭った経験があるので、今回は慎重に作業を進めていきたい。ホイール交換の手順は以下の通り。また、ホイールから古いタイヤを外す手順については、いずれどこかで紹介する機会もあるだろうから、今回は割愛する。
加えて、リムとタイヤでチューブを挟んでしまうのは、経験上、タイヤをリムに嵌め込む最後の最後、いよいよ残り10センチから20センチのところ(このくらいになると、手はもちろん、指だってタイヤの内側には入らない)で起きることが多いから、タイヤをリムに嵌め込む最終段階ではタイヤレバーを使わず、全体重をかけて足でタイヤを強く踏み込めば、割合にうまくいくと思う。中には、最後はタイヤをハンマーで叩いて嵌め込むという強者もいるように聞くが、旅先にまでパンク修理キットに併せてハンマーを持ち歩くのもいささか大仰なきらいがあるから、覚えておいて損はないテクニックであろう。 さて、時にはビード上げも苦労の伴う作業である。そこで、コツというほどのことではないけれども、注意点を挙げておきたい。まずは、ビードクリームをタイヤにもリムにもたっぷり塗り込んで、ケチらないこと。それから、エアーバルブの虫ゴムを外した状態で、圧縮空気を一気呵成に4〜8barも吹き込めば、大抵はすんなりと上がってくれると思う。 ところで、旅先などエアー・コンプレッサーが手元にない状態では、圧縮空気を一気に吹き込むというのはなかなかに難しい作業だろう。そこで、CRC556やWD-40など、可燃性の液体(ガソリンはやめておこう!)を注入しておいて、そこに火を付けるという非常手段もある。バイクやスクーターなどの小径タイヤに、そこまでする必要があるのか、と問われれば、いささか疑問の余地はあるのだが……。私なら、迷わずガソリンスタンドを探して、空気入れを借りる算段をつけるだろう。
タイヤ交換備忘録今回、スポーク・ホイール・リムにチューブレス・タイヤを嵌めてみたので、得られた知見を備忘録として記しておきたい。現在製作中のサイドカーのコンセプトは「小さくとも本格派!スクランブラーサイドカー」であるから、タイヤはもちろん荒れた路面を想定してブロック・パターンをチョイスした。しかしながら、我が国におけるツーリング事情など長距離走行を顧慮した場合に、一体どれほどオフロード走行の機会があるだろうか?強いて求めて林道等に分け入るのであればともかく、普通に観光地巡り等をするのであれば、大概は舗装された路面を走ることになるだろう。それならばと、長距離ツーリングに備えて、ロード・タイヤも用意しておくことに決めた。 さて、私の手持ちのホイールはスポーク・ホイール。無論、チューブ・タイヤ仕様である。これにロード・タイヤを履かせるとなると、実のところ、あまり選択肢は多くない。逆にチューブレス・タイヤであれば、幅広い銘柄から選択が可能である。そこで、チューブレス・タイヤにチューブを組み合わせることにした。 チューブレス・タイヤとチューブ、それにリム・バンドを注文し、首尾よ揃ったところで、早速ホイールとタイヤの組み込み作業に取りかかった。チューブレス・タイヤとはいっても、作業手そのものは、上記と何ら変わるところはない。前後輪・側車輪ともに、さっさと組み込みを終わらせ、後は空気を充填すれば終了というところまではすんなり来ることができた。最後にエア漏れの有無を点検をするのは極々常識の範疇であるが……。何と!3本中2本までがエア漏れを起こしていた。いくら何でも、こんなことが起こるはずはないのだが、といぶしがりながらも、手早くパンク修理を済ませ、今度はタイヤとリムでチューブを咬み込まないよう、慎重にホイールに組み込んだ。 今度こそ大丈夫だろう、と空気を入れてみると、またもやエア漏れ!慌てて開けてみると、チューブには5箇所も穴が開いていた。腕の問題と言われれば、まさにその通りであるけれども、旅先でタイヤがパンクでもして、このような事態に出くわしたとしたら、たまったものではないので、きちんと原因を究明して対策を講じることにした。 原因私の修理の腕前はともかく、ブロック・タイヤにチューブの組み合わせでは、今回のような失敗は一度も起こらなかった。そうとするなら、チューブレス・タイヤとチューブの組み合わせにこそ、問題の原因があるのではないか?そこから、いろいろと考え合わせた結果、チューブ・タイヤと比較して、チューブレス・タイヤのビードははるかに堅く強固に作られているため、タイヤをリムに組み込む際に、梃子を効かようとして、タイヤレバーをやや深く差し込むことになって、どうやらタイヤレバーがチューブを小突いてしまっているらしい、ということに気がついた。 対策そうであるとするならば、対策としては、より慎重にタイヤ・レバーを扱うということに尽きるのだが、やや備忘録的に注意点を挙げておくと、
あれこれ思案した挙げ句、ようやく答えに辿り着いた。要はタイヤ・レバーがチューブを小突く事態を避ければよいのであるから、リムにタイヤを組み込む際に、タイヤ・レバーを使わなければよい。とはいえ、タイヤ・チェンジャーでもあれば別だが、そんなものを買う経時的余裕などないし、そもそも置き場にさえ困るだろう。それでは、どうやってタイヤをリムに組み込むのか? 私の場合は、ビード・ブレーカーを簡易タイヤ・チェンジャーとして使うことで、この問題を解決した。タイヤのビードをリムに押し込む際には、バルブ付近から始めるのが常套であるが、案外この時にタイヤ・レバーがチューブを小突いてしまう。また、リムの円周に沿ってタイヤを嵌め込む際にも、リムとタイヤでチューブを挟み込んでしまうことがある。特にビードをリムに押し込む一番最後が一番の要注意箇所でもある。こうした危うい作業そのものを回避すべく、ビード・ブレーカーでタイヤとチューブを同時にリムに押し込んでしまおう、というわけである。 所感実際に作業してみたところ、予想以上に使い勝手もよく首尾は上々であった。さすがに、全工程をビード・ブレーカーだけでこなすのは些か無理があったが、タイヤ・レバーの使用回数を大幅に削減することが出来た。特に、失敗が起きやすい最初にバルブ付近のビードをリムに押し込む作業と、最後にビードをリムに押し込む作業とをビード・ブレーカーで代替できたことは、危険回避策としてのメリット大なるものがあった。ただし、今回ビード・ブレーカーを使ってみた結果、いくつか問題点も散見したため、今後はビード・ブレーカーに改造を加え、より作業効率を向上させていく予定である。また、旅先でのパンク修理の方法についても、一考の余地があるだろう。例えば、単車でソロ・ツーリングに出かける場合、今回使用したパンク修理機材一式を積み込んで出かけるのは、用意周到で大変結構なことではあるけれども、他の荷物も積むことを考えれば現実的な選択とは言えまい。しかしながら、これがサイドカーとなれば、話は全く別で、このまま全部とは行かないまでも、もう少しコンパクトに収納できさえすれば、機材一式丸ごと携行することも十分可能である。ロング・ツーリング時の頼もしい相棒になってくれるのではないか。十分検討に値するアイデアだと思われるので、ゆっくり考えてみることにしよう。 |