ボール盤改造私が普段使っているボール盤は、某ホームセンターで購入した中華製。軸のぶれ幅が大きく、お世辞にも精度が良いとはいえない。少し大きな穴を開けようとすると、決して真円にはならない。それでも長年愛用してきている大事な相棒であるが、さすがに、精度が求められる作業の時は困ることも多くなってきた。そこで、より精度の高い作業環境を構築するべく、新たに精密ボール盤を購入して、クロスバイス及び旋盤用の三爪チャックと組み合わせることにした。以下、その作業記録を示す。精密ボール盤入手何はともあれ、まずはボール盤を入手しなければ始まらない。それもそこそこの精度を備えた日本製が良いだろう。
そこで、某オークションで出品され続けながらも、一向に落札される気配のなかったボール盤(NAKANEベンチドリルNS-8、写真右)を、この際思い切って入札することにした。競争相手もなく、無事に落札。数日後、商品が手元に届き、早速開封してみたが、いささか驚いた。
なるほど、入札がなかったのも道理で、長年放置されていたのだろうか、全体に錆が回り、各部の動きが渋い。電源を投入すると、幸いモーターは回転したが、Vベルトが掛かった本体のプーリー付近からは異音が発生している。モーター自体の回転もどこか鈍い感じがする。
そうとはいえ、各部の作りは未だにしっかりしていて、欠品もチャックハンドルぐらいなものである。これくらいであれば、一旦ばらして、きちんとレストアすれば、結構な拾いものに化けてくれるかもしれない。まあ、ものは試しである。早速レストア作業に取りかかるとしよう。
ボール盤レストアボール盤は、全バラにして、錆びたパーツ類をディスク・グラインダーに咥えたワイヤーブラシでとことん磨く。また、塗装部分にしつこくこびりついた油汚れは、灯油で洗浄後、メラミンスポンジで研磨した。
一応各パーツが綺麗になったところで、摺動部分にグリスアップして、再度の組み上げ。ただし、モーターは、本格的にオーバーホールが必要と判断されるため、とりあえず、手元にあった同系統の別モーターに換装。
また、元の配線は、ボロボロで到底再使用に耐えなかったので、新たに引き直した。さらに、ON/OFFスイッチは、同型のものが入手できなかったので、やむなく分解して洗浄後、再度組み付けた。
プーリーのベアリング交換、モーターのオーバーホールなど、未だ手つかずの部分も多いが、当初の構想通りに実現できるかどうか、確認の意味もあり、先にクロスバイスと三爪チャックと組み合わせて全体の様子をみることにした(写真右)。
初めの構想では、本格的なフライス盤用のクロステーブルと角度調整が自在に出来るアングルマシンバイスを購入して、ボール盤に組み合わせることを予定していた。しかしながら、実際に現物を合わせてみると、両方ともこのボール盤には大きすぎることが判明し、思いっ切り後ろ髪を引かれながらも使用を断念した。クロスバイス修正そうとして、次善策を探る内に、手持ちの工具類の中で、大きさ的にマッチしそうなのが、件のクロスバイスだった。某オークションで入手したメイドインチャイナの格安品だが、これがまた巷間の噂に違わず、なかなかの難物。曰く、あろうことか摺動部にまで塗料が乗っててスライドはガタガタ、あちこちにバリがあって動作途中で引っかる、カミソリはフラットバーの切り放し?送りねじの遊びは数センチ?etc……
私の購入した品は、正に噂通りの代物だった。結論めいたことを言えば、とにかく件のクロスバイスに精度を求める方が間違い。きちんと動作する完成品が欲しければ、それなりの代価を支払って国産品を買うように!という実に得難い教訓を体現した逸品である。
まあ、完成品を買ったつもりが、粗悪品を掴まされたとなれば、それは腹も立つだろう。しかしながら、巷の噂は重々承知の上で、それでもなお、一から材料を揃えて組み上げることを考えれば、ある程度形の整った半完成品ではある。素材の購入代金と割り切れば、これから自分の手で修正を施し、調整していく手間暇を勘定に入れても、なお国産品よりは遥かにリーズナブルだろう、と私は思う。
そういうわけで、クロスバイスを素材から完成品へと脱皮させるべく、これから必要な修正作業を進めていく。
追記:失礼。私の見積もりが甘かった。修正作業に取りかかりはしたが、すぐに完成までに必要な時間と費用があまりにも高いものにつくことが判明した。費用対効果を勘案すると、最初から国産品を買った方がはるかに安くつくかも?修正作業は潔く諦めて、きちんとした製品を購入し直すことにした。今度ばかりは、「時は金なり」「安物買いの銭失い」などの金言を、身を以て思い知らされた。件のクロスバイスは、次の出番が来るまで(果たして来るのか?)、大事にしまっておくことにした。
三爪チャックアダプター製作旋盤用の三爪チャックをクロスバイスに固定するには、アダプターを作成して、バイスに咥えさせるのが最もてっとり早い。加えて、せっかくの良い機会なので、サーキュラーテーブル的な使い方もできるように工夫したい。
具体的には、三爪チャックのバックプレートを旋盤で削り出した上で、バイスに咥えさせるアダプターは角パイプに蓋をして製作し、両者を上下にボルトで結合させれば、アダプター部分は完成である。
後は、角度定規やら、サーキュラーテーブルの回転機構やら、少しばかり手のかかる工作もあるが、まずはこの状態で実際に道具として使用可能か否かを検証してみないことには、次の段階に進むこともできないであろう。
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