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番街_編


ハチェット製作

キャンプの必需品の一つはナイフである。幸い手元には、様々な用途に対応できるよう、複数本のナイフが用意してある。しかしながら、ナイフは、キャンプ場でたき火用の薪割りに使う場合、少々役不足の感がある。鉈やブッシュナイフ等であればまだしも、フォールディング・ナイフによる薪割りなどは、無理の範疇を超え出て危険ですらある。

やはり適材適所。薪を割るなら斧!それも嵩張らず、手軽に持ち運びができて、腰のベルトに差せるぐらいの大きさで、なおかつ手元で細かな作業にも使えるぐらい使い勝手の良い手斧が欲しい。

そういうわけで、早速ネットで検索。希望に合う製品がないかどうか探してみることにした。結果、「これは!」と思う品に出会うことができた。そうとはいえ、若干大きかったり、逆に小さすぎたり、となかなか希望通りとはいかない。また、日本国内よりも海外に自分の希望に近い製品が多いこともわかった。

ハチェットPŁATNERZE TOPÓR SIEKIERA WIKINGÓW KUTY I HARTOWANY SV041Hand-forged small axeТопор кованый ручной работы кулачный Хват


私が欲しいと思っている斧は、手斧の類いでハチェット(hatchet)という。それもLittlehatchetと呼ばれる、斧身が手の平に収まる位のサイズが、具合が良さそうである。用途としては、枝打ちと焚き付け用の薪割りが主であるが、野山を腰に差して持ち運び、時には手元の細かな細工にも使えるようにと考えれば、小振りで柄の長さも30センチを超えない方が良いだろう。

また、斧の用途からすれば相反する要件になるが、持ち運ぶことを考えれば、重さもできるだけ軽い方が良い。斧に振り回されるよりは、よほど使い勝手が良い筈、と理屈は無理矢理にでもつけておきたい。デザインは、無骨一辺倒よりは、例えて言えばバイキングの斧やトマホークなどのように、多少優雅な曲線で構成されている方が望ましい。こればかりは、単純に好みの問題かも知れない。後は、キャンプ場まで持ち運ぶことが前提であるから、斧身を保護する革製のシースは必須である。

以上、一通り情報を整理して、おおよそ自分の希望するイメージを具体的な形にすることができた。そこで、何時出会えるとも知れない幻の一品を探し続けるよりも、イメージを元に実物を作る方が、はるかに簡単で早道であることに気づいたので、早速、手近にある材料で製作に取りかかった。

デザイン

まずは、頭の中にあるイメージをアウトプットしなければならない。パソコンのドローイング・ソフトを使って製図したものが下図である。柄の長さは、長短2通りあるが、最終的には使い勝手の良さでどちらかを選定する。キャンプ場での持ち運びのしやすさ、収納のしやすさ、取り回しのしやすさ等々を考慮してこのデザインに落ち着いた。

斧としての性能を左右する斧身の形状や重量配分については、野山での枝打ち時のように、木目に対して垂直に打ち下ろす場合は、打撃点に一点集中して力が加わるよう、刃厚は薄目に、刃身が湾曲してカーブを描くようにした方が良い。しかし、薪割りのように、木目に平行して斧身を振り下ろす場合は、刃厚は厚めで、刃身の湾曲を少なくして、楔効果が出るようにした方が良い。

また、柄の形状も、遠心力をうまく使える湾曲柄は枝打ち用途に向き、逆に、薪割りの場合は、経験上から直線柄の方が使い勝手が良かったりする。あれこれ悩んだ末、今回のケースでは、汎用性の追求が返って中途半端な結果を招来しかねないため、野山で持ち回ることを前提に考え、枝打ちと焚き付け作りをするための斧(キンドリング・アックス)を製作することにして、形状を決定した。

斧が意図したとおりの仕上がりになるか否かは、実際に使ってみるまでは何とも言えないが、とりあえずはこの方向で進むことにしたい。

ハチェット・デザイン 柄の長さが短い案ハチェット・デザイン 柄の長さが長い案
ハチェット・デザイン(柄の長さ−短)ハチェット・デザイン(柄の長さ−長)

材料

斧の斧身を鉄鋼から削り出したり、ましてや鍛冶仕事ともなれば、到底自分の手には負えないので、斧身は素直に既製品を流用して加工する。後は手近にある木材から柄を、厚手の革からはシースを作るぐらい。革細工には、他にも幾つか材料や部品が必要になってくるが、それはその都度調達する。

斧身加工

  1. ファミリーツリー 手斧 570gネットで手斧を購入する(右上:ファミリーツリー 手斧 570g)。
  2. 手斧から柄を抜き、斧身だけにする。
  3. 斧身を焼き鈍す。焼き鈍しは、七輪で炭を熾し、斧身を赤熱するまで加熱した後、取り出して大気中に放置し、自然冷却する。
  4. あらかじめデザインして印刷した台紙を斧身に貼り付け、輪郭線を描く。
  5. 輪郭線に沿って斧身を削り出し、形状を整える。右下写真は、斧身の荒削りが終わったところ。
  6. ハチェット・ブレード斧身の焼き入れをする。焼き入れは、七輪で炭を熾し、斧身を赤熱させ、60度に温めた鉱物油に投入して急冷する。水冷却ではなく、油冷却を選択する理由は、刃身の焼き割れを防ぐためである。油冷却は、冷却効率が水よりも緩やかになる分、焼き入れ後の硬度は若干低下する、と言われているが、斧に鋭利な切れ味を求める訳ではないので、多少は構わない。むしろ、斧の場合は、靭性の確保こそが至上であろう。
  7. 焼き入れが完了したら、軽く鑢を当てて硬度の確認をする。
  8. 斧身を180度に設定したオーブン・レンジに入れて、焼き戻しを行う。靭性を担保するための作業であるから、焼き戻しは慎重に行う。
  9. サンドペーパーの番数を順繰りに上げつつ、斧身を磨き上げる。
  10. 荒研ぎ、中研ぎ、仕上げ研ぎの順に砥石を使って、斧身に刃をつける。
  11. 防錆のため、紅茶と穀物酢で斧身に黒染め加工を施す。紅茶のティーパックを4つほど用意し、濃く煮出す。紅茶液と穀物酢を7:3の割合で混ぜて混合液を作る。脱脂した斧身を混合液に浸す。黒錆が生成されたところで、斧身を引き上げて洗浄し、十分に乾燥させる。
  12. オイルを塗布して、斧身完成。


PCケース_レストア

息子から廃棄寸前のPCケース(ATXサイズ)をもらってきた。埃だらけで廃棄寸前の状態であったが、元々の作りは良かったので、レストアをかねてお色直しをすることにした。

埃だらけのPCケースは、そのままでは掃除さえままならない。ケース自体は鉄板をリベットで組み上げているだけなので、まずはリベットを3.2mmのドリルで揉んで全て外した。これでケースが全バラ状態になった。

次に、隅々まで綺麗に掃除した後、フロントパネルの欠損部を補修した。欠損部分に6角レンチを芯線として埋め込み、周囲をポリパテで埋めて元の形に整形した。

外版はサンド・ペーパーでならして、塗装用の下地を整えた。元は全体が黒色塗装だったが、そのまま塗り直してもあまり面白くない。そこで、サイドカーの塗装に使用したOD色を流用して、ミリタリー仕様に変更した。塗装後は、十分に乾燥させた後に、軽くコンパウンドで磨いておいた。

最後は、引き抜きリベットで外版を組み立て、配線を引き直して完成とした。

さて、お色直しの済んだPCケースは、ぱっと見ならば新品同様に見えなくもない。いろいろ粗も目につきはするが、見なかったことにする。このケースには、手持ちのRYZENとマザーボードを組み込み、Windows11で動かすつもりである。これでまたわが家にパソコンが1台増えることになった。

PCケース_全バラ_塗装前PCケース_全バラ_塗装後PCケース_フロントパネル_欠損部修正PCケース_フロントパネル_塗装後

PCケース_組立_前部PCケース_組立_後部PCケース_組立_右部PCケース_組立_左部

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